2022年10月14日、私の地元神戸空港の近くでドローン飛行が目撃され一時大きな騒ぎになりました。
管制塔が見つけたそうですね。空港にいたスタッフも目撃したそうなので飛行していたのは確かなようです。
結局ドローンも人も発見されていませんがとても危険です。多くの人に迷惑をかける行為なので絶対にやめましょう。
空港近くでドローンを飛行させたらどうなるか、今回の事件を例に理解しておきましょう。
この記事は、国土交通省管理団体ドローンネット所属 「スカイファイト神戸」インストラクターが解説していきます。
ドローンの国家資格について、10月27日に国土交通省から新しい発表がありました。
ドローン国家資格|気になる費用がいよいよ発表!【実地試験3項目】
神戸空港近くでドローンの侵入が確認され滑走路が一時閉鎖される事件が発生!
ドローンを空港の近くで飛行させるのは法律で禁止されています。
万一飛行機と接触すると大きな事故につながるからです。
- 神戸空港のように離発着停止になり空港が一時閉鎖される
- ドローンと航空機が接触したら死亡事故に繋がる可能性が高い
- 空港の正常復旧までに時間と費用がかかる
今回は1時間ほど滑走路が閉鎖されたようです。
空港周辺でのドローン飛行がどれだけ危険かをお伝えできればと思います。
神戸空港のように離発着停止になり空港が一時閉鎖される
今回は午後8時頃から9時頃まで滑走路が閉鎖され出発も到着もできない状態になりました。
楽しい旅行を予定していた家族、急ぎの用事で出張に向かうビジネスマン、親が病気で帰省する人など様々な目的を持った人がいたはずです。
神戸空港に着陸できず関西国際空港へ着陸させた便もありました。
「神戸空港にドローン侵入」の目撃情報 滑走路を一時閉鎖(提供:毎日新聞)
もしドローンと接触したら甚大な死亡事故になる可能性が高い!
小さいドローンといって安心できるものではありません。
バードストライクのように鳥が飛行機のエンジンや窓に衝突しただけで大きな事故に発展することがあるからです。
実際に海外ではバードストライクによる飛行機事故も起きており、有名な映画「ハドソン川の奇跡」もそのひとつと言われています。
空港は海や川に近いため鳥が生息しやすい地域ですから離発着時には鳥が飛行機に近づかないように威嚇するバードパトロールが行われています。
空港の正常復旧までに多大な費用と時間がかかる!
墜落事故は多くの人命を失います。
遺族への対応、補償問題、航空機の損害、空港の復旧作業、周囲施設への対応など当分の間空港は閉鎖になり被害者はますます広がるでしょう。
飛行機は短時間で目的地を往復できる乗り物ですがたった一人のドローンパイロットによって多くの人の予定や人生が狂ってしまうことがあります。
ドローンの知識がある人なら誰でも知っている「空港の近くでは飛行させてはいけない」ことを改めて深く心に刻んでおきましょう。
ドローンには航空法の他にも法律に関わる場合があります。こちらも学んでおいて損はありません。
ドローンが関わる法律と違反した時の罰則事例9つ!重要知識を知ってスキルと信頼度をUP!
ドローン飛行禁止の空港周辺とはどこを指すか?航空法に違反しないための知識!
空港周辺は飛行禁止区域が定められおり、ヘリポートのある施設も同様です。
赤で色がついている箇所はDID地区(人口集中地区)、円の部分は空港で飛行が禁止されています。
下の地図は神戸空港周辺をSORAPASSで調べたものです。飛行する前には禁止区域をしっかり調べて置かないといけませんね。
距離が定められているだけでなく離発着の状況を想定し細かく設定されていますので神戸空港を例に詳しくご紹介していきます。
神戸空港は2620m、その左右が離発着に使用されておりいずれも端から3000mは飛行が禁止されています。
断面A-A’を見ればわかりやすいですね。大きな地図に記載されたものと同じで、断面A-A’は東西、断面B-B’は南北の断面ですね。
左は上から見た図、飛行禁止区域を斜めから見た図です。
すり鉢状になっているのは飛行機の離発着による侵入を計算されているからなんです。
制限表面の種類と範囲は成田空港の図がわかりやすいのでこちらで説明します。
進入表面:進入の最終段階及び離陸時における航空機の安全を確保するために必要な表面
水平表面 :空港周辺での旋回飛行等低空飛行の安全を確保するために必要な表面
転移表面 :進入をやり直す場合等の側面方向への飛行の安全を確保するために必要な表面
円錐表面 : 大型化及び高速化により旋回半径が増大した航空機の空港周辺での旋回飛行等の安全を確保するために必要な表面
延長進入表面 : 精密進入方式による航空機の最終直線進入の安全を確保するために必要な表面
外側水平表面 : 航空機が最終直線進入を行うまでの経路の安全を確保するために必要な表面
特別な事情があって空港周辺での飛行を考えている場合は該当する空港等の管理者に問い合わせて確認することができます。
進入表面等の設定状況(詳細図)及び空港等の周辺空域を管轄する機関の連絡先/国土交通省
空港周辺以外でもドローンの規制はさらに厳しくなる?
ドローンの航空法違反には厳しい罰則が待っています。
一年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。とても厳しいですね。
無許可で飛行しているドローンかどうかはリモートIDで航空局や警察関係組織なら判断ができます。
※航空法改正の2022年6月より以前に機体登録を済ませたドローンはリモートIDが搭載されていないので電波を発する機能はありません。
では違法で飛行するドローンの捕獲はどう考えられているのでしょうか。
イームズロボティクス株式会社では空のテロ対策「不審なドローンを検知&捕獲!」として不審なドローンの確保映像が公開されています。
東芝インフラシステムズでは自律型捕獲用ドローンを使った捕獲のドローンが開発されています。
アメリカではドローンからネットを発射させる仕組みで確保されています。
そのほかにも「ワイヤーを吊るして回転するプロペラに引っ掛け、飛行不能にする」「バズーカ砲のようなランチャー式」や「地上からの操作でドローンの無線周波数を狂わせてパイロットの位置まで誘導させる」装置もあるようです。
DJI社のドローンは飛行制限エリアが決められていて区域内で飛行しようとしてもプロペラが回転しない仕組みになっています。(カスタムロック機能)
DJI社は世界で70%のドローンシェアを誇るだけあって安全面での考慮もなされています。
空港周辺で飛行する場合は交通大臣の許可を得た後に、機体と接続するアプリを使って事前にロック解除申請が必要です。
ドローンを取り巻く環境はますます厳しくなりますが、裏を返せば正しい知識と技術を持って飛行させていれば大丈夫です。
12月からいよいよ国家資格になります。
いつとるか、お悩みの方はこちらの記事を参考にしてください。きっと参考になります。
ドローン国家資格 12月まで待つか、民間資格を先に取るか?【航空法改正】
まとめ|神戸空港近くでドローンの侵入が確認され滑走路が一時閉鎖!【航空法違反】
空港周辺でドローンを飛行させることがどれだけ危険を伴うかおわかりいただけたと思います。
今回の事件、神戸空港で飛行させた侵入者もドローンも結局見つからなかったようです。やばいと思って逃げたのならドローン飛行が法律違反だという認識はあったのかもしれません。
もし飛行機と接触するような事態になってパイロットが逃げたとすればこれほど恐ろしいことはありません。
警察の取り締まりにも期待しますが、何よりも良識を持ったパイロットの育成が求められますね。
私たちもより多くの方に正しい知識を習得していただけるように頑張ります。