ドローンを山で飛ばすのは簡単そうに思えますが、海や川と違って少し複雑です。
全ての山は、どこかの誰かが所有しているからなんです。
山の所有者って、どう調べたらいいのでしょうか。
ここでは、所有者を見つけて、許可を取る方法と、山で飛行する注意点についてお話していきます。
いやいや、山の前に海や川の方が安全でしょ。
そんな方にぴったりのお話をまとめていますので、よろしければご覧ください。
ドローンを海・山・川で飛ばすための注意点【航空法+⚪︎⚪︎とは】
もう済ませましたか?【ドローンの機体登録】
機体登録は、すべてのドローンパイロットの義務
ドローンを購入したら、まず最初に行うのは機体登録です。
これが完了していなければ、何も始まりませんね。
100g以上の全てのドローン1機ずつに、登録義務があります。
機体を登録せずに飛ばすと、航空法違反で厳しい罰則があるので気をつけてください。
第百五十七条の四
第百三十一条の四の規定に違反して、無人航空機を航空の用に供したときは、その違反行為をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(航空法より)
- 100g以上のドローンには全て必要
- 国土交通省のDIPSからインターネットで登録する。
- ナンバープレートをつける
- 取得した登録番号をリモートIDと紐付けする
自動車と同じで、所有者を特定するためです。
登録費用は、900円〜2,400円で、登録の方法によって費用が違うので、自分に合ったスタイルで登録してください。
機体登録について、まだよくわからないよ、という人のためにこちらの記事をご用意しました。
山で飛ばしたい|国土交通省への飛行許可申請が必要なケース
山でドローンを飛ばすとき、国土交通省への飛行許可申請が必要なケースがあります。
- 高度150m以上の空域
- 目視外で飛行させる
- 夜間に飛行させる
- 人、物に30m以上の距離が確保できない
- 危険物を輸送する
- 物件投下を行う
6つのうちひとつでも該当する場合は、国土交通省へ飛行許可申請をしなければなりません。
目視外、夜間飛行、人物30m以内の飛行は包括申請で、許可がもらえる可能性が大きいので、挑戦してみましょう。
日本全国飛行できて、国土交通省から一年間、飛行許可をもらえる「包括申請」が取れると、常に許可をもらっている状態になります。
危険物の輸送、物件投下は、包括申請がおりませんので、飛行する際は個別に申請が必要です。
ドローンを山で飛ばすためにはどこに許可をもらえばいい?
どの山も、立ち入るための許可が必要です。
土地には地上権があり、空も所有者の土地として扱われるからです。
誰に許可を取ったらいいんですか?
山によって許可を取るための問い合わせ先が違うんです。
・国有林 → 国土交通大臣
・民友林 → 地方自治体
・私有林 → 個人または企業
山には「国有林」「民有林」「私有林」があり、管理者が違うので、ドローン飛行の承認をもらうための問い合わせ先も異なります。
国有林は林野庁に「入林届け」を出す必要がある
どこが国有林かわからないんですけど…
国有林の場所は、国土地理院のホームページで調べることができます。
緑色の部分が国有林を示しています。
国有林に入るためには、林野庁の出先機関「森林管理署」などに、入林届けを提出するのがルールです。
- 国有林野内で無人航空機(ドローン、ラジコン機等)を飛行させる場合
- イベント開催
- 狩猟・鳥獣捕獲を行う場合
- 取材・調査等を目的とする場合
- 国又は地方公共団体の職員等が国有林野に入林する場合
飛ばしたい山が、どの県の森林管理署が管理しているのか、調べてから申請しましょう。
最近では、ドローン専用の書類が用意されています。
無人航空機を飛行させる場合の入林届
国土地理院地図で大まかに把握し、詳細な位置関係を森林管理局ホームページの「国有林野施業実施計画図」で確認すれば、かなり詳細までわかります。
民有林は都道府県や市町村の許可が必要
民有林とは国有林以外の山のことです。
国有林は「入林届」を森林管理署へ提出すれば、ドローンの飛行は可能ですが、民有林、特に私有林は、所有者が個人の場合が多いため、調査も許可取りも結構複雑です。
そういえば、あの山は友達のおじいさんの土地とか言ってたな…。
周囲にこんな人もいますよね。これはまさに私有林のケースです。
所有の形態 | 管理者 |
---|---|
国有林 | 国 |
民有林 | 都道府県や市町村 |
私有林 | 個人や企業 |
民友林・私有林は、都道府県、市町村の自治体へ相談して、手続きの方法を確認してください。
ドローン飛行を許可するかどうかは、所有者の判断です。
国土交通省の飛行許可より優先されることを知っておいてください。
観光地などに見られる私有林の特例
観光地の私有林には、特例があります。
そもそも私有林は、ひとつに見える山でも、複数の所有者が存在するケースが多いため、個々に管理することが難しいです。
観光地の中には、一帯を管理する「観光協会」で取りまとめしている場合があるので、ドローンの飛行許可が進めやすくなります。
費用がかかる場合もありますが、それほど高くないケースが多いです。
観光地によっては、最適なスポットや、撮影時間のタイミングなどを考慮して、アドバイスしてくれるところもあるので、逆に安いと言えます。
入林届は許可書ではない
入林届は、森林管理署に提出した書類のことで、許可書ではありません。
「この山林で飛行させますので、お知り置きください」という意味の申告書を、森林管理署が受理した書類のことです。
ドローンの飛行中や飛行後に、第三者から許可の有無を聞かれたら、入林届を提出できるよう、携行を心がけてください。
山でドローンを見失うと衝突やロストの心配が…。
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ドローンを山で安全に飛ばすための注意4つ!
高度150m以下の空域で飛行する
航空法で禁止されている飛行方法の中に「高度150m以上の飛行禁止」があります。
地表から150m以上を飛行させる場合は、国土交通省へ、個別の許可申請が必要です。
山の高度は、山の斜面に沿った高度です。
手元のコントローラーが表示する高度は、離陸した位置からの高度を示すので、気づかないうちに航空法違反になっていることがあります。
山で飛ばす場合は、起伏を計算して、149mの高度を超えないよう、計画を立てましょう。
山のドローン飛行は「風」が大敵
山の飛行で知っておかなければならないのは、風の動きです。
風は目に見えないため、地形と風速・風向きを見て、飛行ルートを計画するのが安全です。
山風:山から吹き下ろす風
谷風:山から山頂に向かって吹き上げる風
上昇気流:雨を降らせる原因にもなる風
地上で測る風速以上に、空は風が強く、山あいでは風の通り道もあり、さらに山の天候は変わりやすく、突風などの急な自然現象が度々起こります。
ドローンにとって風は大敵ですね。
ではドローンは、どれくらいの風に耐えることができるのでしょうか。
スペックに表記されている「最大風圧抵抗」について、少し深掘りしてお話します。
DJIのMini-3Proの例
最大風圧抵抗 | 最大飛行速度 |
10.7m/s | 16m/s(時速57.60km) |
例えば風速10.7m/sの風に対して、飛行速度が同じ10.7m/sだとしたら、ドローンの速度は風と同じになり、前進できないことになります。
機種の重量や、機体の条件によって異なりますが、最高速度が風速の1.5〜2倍は必要として設定されているようです。
DJIのMini-3Proの飛行モード | 最大飛行速度 |
---|---|
Sモード | 16m/s |
Nモード | 10m/s |
Cモード | 6m/s |
DJI製のドローンなら、強風警告が表示されるのでとても頼りになります。
DJI製のドローンは、コンシューマクラスの機体でも、安心して飛行させることができる性能を持っているので、おすすめです。
大型の野鳥に注意する
鳥の中には、なわばり意識の意識の強い鳥や、好奇心のある鳥がいます。
特に、繁殖期の春から夏は鳥の神経が、過敏になる時期なので注意が必要です。
一羽でもドローンに攻撃してくる鳥もいますが、最初に一羽やってきて、仲間を連れてくる鳥もいるので、いなくなったからといって、安心はできません。
鳥の性質上、急降下は得意ですが、急上昇は苦手です。
危険を察知したら、一旦急上昇し、落ち着いて退避させましょう。
急上昇できるくらい、最高高度は低めに設定しておくと安全です。
山には、ドローン慣れしていない鳥がいるので注意しましょう。
GPSの受信数に注意する
山や渓谷はGPSの受信が安定しているとは言えません。
GPSは直進性が強いため、谷などでは受信が途絶えてしまうことがあります。
GPSが受信できない場所でドローンを飛行させた場合は、風にそのまま流されていくことになり、機体を見失ってしまうことがあります。
山での飛行は、GPSをキャッチできることを、各所で確認できるまで、目視内飛行を行いましょう。
もしドローンを山で墜落させてしまったら?
墜落させてしまったドローンは、放置してはいけません。
リポバッテーリーは、発火の可能性があり、森林火災へと発展してしまう可能性があるからです。
墜落した機体の回収は、操縦者の義務で、捜索せずに放置した場合は「不法投棄」と見なされ、5年以下の懲役または1,000万円の罰金または併科が課せられます。
- 山林の所有者・管理者へ連絡
- 警察へ遺失物届け
- 国土交通省への事故報告(DIPSから)
- 保険会社への連絡
もし、人が関わる事故の場合、最優先することは、人の救護です。
ひとつでも怠らないように十分注意しましょう。
まとめ|ドローンを山で飛ばすために重要なこと
今回は山で飛行するために注意することと、許可を取るための方法をお話してきました。
- 国有林:国が管理
- 民有林:都道府県や市町村が管理
- 私有林:個人や企業、一部は観光協会が管理
森林の種類によって、許可の取り方が違い、連絡先も違います。
また、山は天候が変わりやすく、風を読むのも難しいため、自分の操縦技能に合わせて、無理のない飛行を行い、決して攻めた飛行をしないように心がけましょう。
飛行技術と知識をマンツーマンで指導します。卒業後もご安心ください。