海は、誰の所有物にもあたらない「公共用物」という、最高裁の判決があります。
それなら、誰にも許可を取る必要がないんじゃ…。
そう思いがちですが、海上は2つに区分されていて、ドローンを飛ばすための扱いが違います。
また、飛行させる場所、離発着場所についても許可を取る必要があり、簡単なようで複雑です。
今回は、海で飛ばす時の強力な味方「海しる」の使い方をわかりやすく解説します。
航空法に引っかかって、罰金を支払うことがないように気をつけましょう。
航空法に違反すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。
山や川でも飛ばしたい!許可を取るポイントと注意点をまとめています。
ドローンを海・山・川で飛ばすための注意点【航空法+⚪︎⚪︎とは】
海には2種類ある【許可が必要な海と不要な海】
海は2種類に分けられていて、許可が必要な海と、許可が不要な海があります。
同じ海なのに違いがあるんですか?
そうなんです。ここから詳しくお話しますね。
それほど複雑ではないので、軽く頭に入れておいてください。
公海と領海の違い
公海とは、どの国のものでもない、自由に行き来できる海のことです。
距離的に言えば、海岸から12海里(約22km)以上離れた海を公海と言います。
対して領海は、海岸から12海里(約22km)までを言い、24海里、200海里によって呼び方も違います。
排他的経済水域ってこういう場所を表すんですね。
ドローンと密接な関係はありませんが、予備知識として知っておいても良いでしょう。
海上保安庁への連絡が必要な場所は?【領海】
領海の範囲内でドローンを飛ばすには、海上保安庁への連絡が必要です。
国土交通省の飛行許可が降りていれば、よほどのことがない限り、飛行OKの回答がもらえます。
飛ばしてはいけない場所があるのでこの後にお話しますね。
海上保安庁への連絡が不要な場所は?【公海】
公海は海岸からかなり離れているので、ドローンを海岸から離陸させることができませんね。
公海と言われる海なら、船上からの飛行になるため、ドローンを飛ばすためには、船長の許可が必要です。
公海でのドローン飛行は、慣れた人でも水没させてしまうケースがあるので、飛ばすときは十分気をつけてください。
- リターントゥホームを設定していたらドローンが海へ水没した
- 着陸させる時プロペラでケガをしてしまった
リターントゥホームを設定した場所から、離陸したドローンが元の場所に戻ってきたが、飛行後に船が移動したため、ドローンが水没してしまったケースです。
また、クルーザーにドローンが戻ってきたが、スペースが狭くて着陸できず、ハンドキャッチしようとしてケガをしてしまうことがあります。
船上でドローンを飛ばすのには、熟練したパイロットの経験と知識が必要です。
目視外飛行には欠かせない双眼鏡の選び方を間違えないコツをお話しています。
ドローン飛行に必須!失敗しない双眼鏡選び【倍率・機能性を比較】
ドローンを海で飛ばすときには必ずチェック【海しる】
ドローンを海で飛ばす時に、必ず知っておかなければならないのは「港則法」です。
港則法とは、港の交通安全のために作られた法律で、部分的にドローンの飛行が制限されている場所があります。
- 船が往来する場所
- 積荷が運送される港
- 船が係留されている港
- その他船舶の航行に障害となるおそれがある行為
海はDID地区じゃないから、簡単に飛ばせると思っていました。
DID地区じゃなくても、飛ばせない場所があることを、知っておきましょう。
飛ばせない場所は「海しる」でチェックする
港則法に該当する場所を探すのは「海しる」がおすすめです。
海上保安庁が運営しているサイトだから、どこよりも正しい回答が得られます。
海しるは、海に関するあらゆる情報を見ることができるので、海を飛行させる前には必ずチェックしましょう。
ドローンに密接な結びつきがあるのは、次の5つです。
- 港則法適用港
- 港則法区域
- 港則法航路
- 灯台
- 海水浴場
港則法に関係する港や、航路は基本的に飛行することはできませんが、時間帯によっては許可される場合もあるため、直接確認することをおすすめします。
また、灯台の中には電波灯台もあり、ドローンの飛行に影響を及ぼすことがあるため、近くを飛ばす場合は、事前に確認しておきましょう。
海しるはとても便利に使えるので、活用することをおすすめします。
ドローンには飛行させてはいけない場所と、飛行できない方法があります。飛行させるためのルールと、安全に飛ばすためのコツを解説しています。
屋外で安心して飛ばしたいなら使うべき! 事故を防ぐドローンのフライトチェックリスト!
海でドローンを飛ばすならどこに許可を取ればいい?
ここまで、ドローンを飛ばせる場所の探し方についてお話してきました。
では、どこへ確認を取れば良いのでしょうか。
そうなんです、それが知りたいんです。
では早速お話していきましょう。
場所 | 許可申請先 | 備考 |
---|---|---|
領海 | 海上保安庁 | 海岸から12海里(22km)以内 |
公海 | 船長 | 海岸から12海里(22km)以上 |
海岸 | 市町村または海水浴場 | 時期によって異なる |
道路 | 警察 | 離発着に使用 |
海岸は時期によって、許可を得るための問い合わせ先が異なります。
海水浴シーズンは「海水浴場の運営者」で、オフシーズンは市町村になります。
市役所に問い合わせたらいいんですか?
そうですね。まずは市役所に問い合わせると教えてくれます。
道路を離発着に使用する場合は、警察の許可が必要です。
場合によっては「道路使用許可証」を取らなければならないケースがあるため、日数の余裕をみて問い合わせしてください。
経験上、スムーズに許可をもらえることがほとんどです。
相手先によっては、FAXの送信を求められることがあるため、あらかじめ準備しておくとといいものをお伝えします。
- ドローンの資格団体と番号
- 国土交通省の飛行許可証
- 飛行日時
- 飛行目的
- 具体的な飛行場所
問い合わせるときには、必要項目をお伝えすると良いでしょう。
どこで飛ばすにも警察への連絡は必要?
道路から離発着する以外なら、本来警察へ許可を取る必要はありません。
国土交通省の飛行許可証と、土地の管理者の許可があればドローンを飛ばすことができます。
よかった。警察に連絡するのって何となく苦手で…。
実は警察に連絡を入れるのは大きなメリットがあるんです。
以前神戸で空撮するときに、管轄の警察署に連絡を入れたときに「FAXを送っていただけますか?」と言われたことがありました。
次のひとことが
なんと嬉しいお言葉。初めて聴いたとき、思わず感動しました。
ドローン飛行は、市民からの通報は十分考えられるだけに、情報を共有していただけると、とても安心して飛行できます。
ドローンに対して好意的な考えを持っていただける人たちが、もっと増えるといいですね。
ドローンを海で飛ばすときの飛行サポートグッズ5つ
ドローンを安全に、安心して飛ばすために、おすすめのグッズがあります。
絶対に必要ではありませんが、あれば助かることもあります。
腕章
付けてると恥ずかしそう…。そう思われがちな腕章ですが、周囲から見て「きちんと許可を取っているんだな」と一目瞭然わかるだけに、通報も減ります。
通報されて、警察が来ると嫌な思いもする上に、せっかくの飛行を中止させられて、絶好の空撮タイミングを逃してしまうことがあります。
腕章やジャケットなど、地味で恥ずかしいものほど効果があります。
ランディングマット
海の飛行で欠かせないのがランディングマットです。
特に砂浜から離着陸する場合、ドローンの風で砂が舞い、パーツの中に入り込んでドローンの故障にもつながりますし、大きなランディングマットを広げていると、周囲にも正しく飛行しているアピールになります。
また、着陸時に雑草に巻き込まれたりすると、プロペラが痛むことがあります。
ドローンを安全に飛ばすために、フライトのときには必ず携帯しましょう。
サングラス
ドローンを海で飛行させる場合、天敵は太陽です。
「眩しくてドローンを見失ってしまう」「太陽で目が焼ける」こうした体験をされた方も多いと思います。
海だけでなく、屋外で飛行させるには、ひとつは持っておきたいサングラス。
偏光サングラスがおすすめです。
風速計
風を計るのはドローン飛行の基本です。
機体によって耐風の度合いは違いますが、フライト前にはチェックが必要な項目です。
特に上空は地上よりも風が強いため、配慮が必要です。
- 地上:風速3m/s
- 30m上空:風速6.5m/s
30m上空では、2倍以上の風が吹いていることがあります。
墜落するリスク、風に流されて水没するリスクから逃れるために風速計を持っておきましょう。
NDフィルター
海上には遮るものがほとんどありません。
非常に明るいレンズが採用されている、DJI機を愛用している方には、特におすすめです。
例えばMini3ProのレンズはF1.7で、暗めの場所でも明るく撮影できる反面、明るすぎる場所は苦手なデメリットがあります。
NDフィルターは、人で言うところのサングラスです。
きれいな動画を残したい方には、おすすめです。
海で機体が墜落した時のために【事前に保険を確認】
海でドローンを飛ばすとき、最も心配なのが墜落・水没です。
浅い海なら回収も可能ですが、水深がある場合は、回収することもできません。
「あ〜、買ったばっかりなのに」といって涙を流すことがないように、事前に確認しておき、安全飛行を心がけましょう。
- DJI機に付帯するエアロエントリー保険は対人対物のみ
- DJIケアフレッシュは壊れた機体をリフレッシュするサービス
ドローンの保険は意外と安く入れて、補償額はしっかり確保してくれますが、自動車で言う車両保険は、ほとんどついていません。
「新しいドローンを購入したけど、ちょっと不安…。」
そんな場合は、ドローン保険への加入を考えましょう。
中には、ドローンを回収しないと保険金が支払われないものがあるので、ちゃんと調べてから加入してください。
まとめ:ドローンを海で飛ばす許可をもらって安心して飛行する方法!
海でドローンを飛ばすには、山や川と比べて、比較的許可をもらうのが簡単です。
とはいえ、国土交通省から飛行許可をもらうためには、10時間の飛行や、目視外飛行などの実績も必須です。
また、海はどこでも飛ばせる訳ではなく、港則法など、ドローンの航空法以外の法律も関係してきます。
安心して、正しく飛行しない場合は、航空法違反で前科がつき、さらに50万円以下の罰金または5年以下の懲役が課せられます。
ドローンスクール スカイファイト神戸では、飛行技術や知識の指導はもちろん、受講中には出てこない多くの疑問や悩みを、卒業後もサポートしています。
ドローンの相談ができる場所として活用できる、スカイファイト神戸への入校を考えてはいかがでしょうか。