国土交通省の発表により実地試験(技能証明)の費用案が発表され、ドローンの国家資格がまたひとつ明らかになりました。
この段階ではまだ決定されていませんね。
私たちスクール側もお問い合わせに明確にお応えできなくて…。
ドローンの国家資格が明らかになってきたとは言え、まだまだ全容がわかるほどではありません。
今回は、10月27日に案として発表された資料に限られた情報を組み合わせて、二等資格に絞って実地試験とその周辺を説明していきます。
国家資格って取得した方がいい?しなくても大丈夫?
お悩みの方はこちらの記事を参考にしてください。
ドローン国家資格!講習はどう変わる?国のライセンスは本当に必要か?
この記事は、国土交通省管理団体ドローンネット所属 「スカイファイト神戸」インストラクターが解説していきます。
ドローン国家資格|実地試験にかかる費用はいくら?
国家資格後は実地試験(技能証明の申請)をドローンスクールで行うことが国土交通省から正式に発表されています。
今回の発表はドローンスクールでの実地試験で係る費用のことで、試験の項目が「基本飛行」「目視外飛行」「夜間飛行」の3つに細分化され、それぞれ約20,000円の試験費用になるということです。
それぞれに価格が設定されているということは、別々に試験を受ける必要があるんですか?
目視外飛行と夜間飛行は、基本の試験に含まれないことになりそうです。
つまり目視外飛行をしたいならオプションで目視外飛行の実地試験を受けて合格する必要があるという解釈になります。
全部資格を取りたい場合は、実地試験だけで60,000円の費用がかかります。
ドローン国家資格|実地試験ごとの詳しい内容とは?
実地試験の詳細は10月7日に国土交通省から発表されており二等資格の場合、持ち点100点で70点を下回った時点で不合格となります。
二等無人航空機操縦士実地試験実施細則 回転翼航空機(マルチローター)
どんな飛行が何点減点か、何をすれば即刻不合格になるかについて記載もあるので国家資格を目指す方は目を通しておくことをおすすめします。
では早速「基本飛行の実地試験」から説明していきます。
- 机上試験
- 口述試験(飛行前点検)
- 実技試験
- 口述試験(飛行後の点検及び記録)
- 口述試験(事故、重大インシデントの報告及びその対応)
基本飛行の実地試験は5項目について行われると発表されています。
ひとつずつお話していきましょう。
①机上試験
机上試験は呼び方の通り机の前で行う試験になるでしょう。
試験の内容は
試験員より昼間の目視内、立入管理措置が講じられた条件での模擬飛行計画を提示し、飛行計画の作成において留意が必要な事項について、受験者が理解しているかどうかを判定可能な質問を行い、答えさせる。出題数は、4問とする。
国土交通省 二等無人航空機操縦士実地試験実施細則
航空法、安全確保措置、自動飛行機能の設定などについて試験管から質問された項目に回答する試験です。
持ち時間は5分で、間違えると1問につき5点が減点されます。
②口述試験(飛行前点検)
口述試験は飛行前にドローンの点検を行う試験のようです。
飛行前の点検を適切に行うことができるかどうかを判定する。
国土交通省 二等無人航空機操縦士実地試験実施細則
※点検中に不具合が確認された場合であって、当該不具合に対応等した後に試験再開が可能なときは、受験者が不具合を確認するまでに行った点検項目は試験員が点検を行う。
電源、通信系統、バッテリー残量、リモートIDの正常点呼、モーターなどについて確認を行う試験になっているようです。
記載漏れ若しくは誤りが一つでもあった場合、10点を減点されます。
③実技試験
実際にドローンを飛行させるテストです。
所定のエリアの上を飛行させるわけですが、その中に「減点エリア」と「不合格エリア」があり徐々に減点されるので気をつけて飛行させましょう。
立入管理措置が講じられた昼間かつ目視内の飛行に係る基本的な操縦能力を有するかどうかを判定する。
国土交通省 二等無人航空機操縦士実地試験実施細則
基本飛行では、3種類の飛行試験が行われます。
【スクエア飛行の実地試験】
① GNSS、ビジョンセンサー等の水平方向の位置安定機能ONの状態で、機首を受験者から見て前方にむけて離陸を行い、高度3.5メートルまで上昇し、5秒間ホバリングを行う。
②試験員が口頭で指示する飛行経路及び手順で直線上に飛行する。機体の機首を常に進行方向に向けた状態で移動をする。
③移動完了後、着陸を行う。
制限時間の8分以内に完了しない、または減点区画への飛行により70点未満になると試験が終了になります。
【8の字飛行の実地試験】
①GNSS、ビジョンセンサー等の水平方向の位置安定機能ONの状態で、機首を受験者から見て前方に向けて離陸を行い、高度1.5メートルまで上昇し、5秒間ホバリングを行う。
② 試験員が口頭で指示する飛行経路及び手順で、機体の機首を進行方向に向けた状態での8の字飛行を、連続して二周行う。
③8の字飛行完了後、着陸を行う。
※円直径は約5メートルとする。
制限時間の8分以内に完了しない、または減点区画への飛行により70点未満になると試験が終了になります。
【異常事態における飛行の実地試験】
① GNSS、ビジョンセンサー等の水平方向の位置安定機能OFFの状態で、機首を受験者から見て前方に向けて離陸を行い、高度3.5メートルまで上昇し、5秒間ホバリングを行う。
②試験員が口頭で指示する飛行経路及び手順で直線上に飛行する。機首を常に受験者から見て前方に向けた状態で側方へ移動し続ける。
③試験員からの緊急着陸を行う旨の口頭指示があり次第、最短の飛行経路で指定された緊急着陸地点に着陸を行う。
制限時間の6分以内に完了しない、または減点区画への飛行により70点未満になると試験が終了になります。
④口述試験(飛行後の点検及び記録)
飛行試験が完了したら機体のチェックを行う試験になりますが、ここでも減点があるので最後まで気を抜かないように気をつけて回答しましょう。
飛行後の点検と記録を適切に行うことができるかどうかを判定する。
国土交通省 二等無人航空機操縦士実地試験実施細則
ここでは飛行後のねじ、コネクターのゆるみやローター、プロペラの外観、損傷、ゆがみなどをチェック。
誤りがひとつでもあれば5点が減点されます。
飛行後の記録
無人航空機の飛行日誌の取扱要領に準じた飛行記録の様式を提供し、実施した飛行を記録させる。飛行時に異常が認められた場合は、当該様式に不具合事項を記載することとする。
国土交通省 二等無人航空機操縦士実地試験実施細則
記載の漏れ、または誤りがひとつでもあれば10点が減点されます。
⑤口述試験(事故、重大インシデントの報告及びその対応)
最後に事故やトラブルが発生したときにどう対処するかの問題が3つ出されるようです。
事故、重大インシデント発生時の報告と対応について、適切に行うことができるかどうかを判定する。
国土交通省 二等無人航空機操縦士実地試験実施細則
さらに事故等が発生した場合の適切な処置を理解しているか、1問が出題される、とあります。
回答時間はそれぞれ3分以内。記載の漏れ、または誤り、未回答の場合は5点が減点されます。
ドローン国家資格|夜間飛行の実地試験とは?
昼間飛行の限定変更、つまり夜間飛行の実地試験は150ルクス以下の照度のもとで行われます。
口述試験、実技試験、口述試験が行われますが、一部の内容が「夜間」の問題に変更になる以外、大きな違いはないようです。
実技試験は「8の字飛行」がなく、スクエア飛行と異常事態における飛行のみ、明るさの違いがあるだけで飛行の内容は同じとなっています。
目視外飛行の実地試験
目視内飛行の限定変更、つまり目視外飛行の実地試験は、受験者が機体に背を向け、目視できない状態で行われます。
机上試験、口述試験、実技試験、口述試験が行われますが、一部の内容が「カメラ」に関する問題が変更になる以外、大きな違いはないようです。
実技試験は「8の字飛行」がなく、スクエア飛行と異常事態における飛行のみです。
異常事態の飛行試験には不合格区画は設定されないことになっています。
ドローンの国家資格を取得するために!【総額費用の疑問解消】
今回の発表で実地試験にかかる費用が見えてきました。
今のところは案の段階ですが大きく変更されることはないでしょう。
そのほかにも国家資格を取得するために必要な費用もあるので現在わかっている範囲で説明していきます。
講習費用は別途かかる
ドローンスクールで知識と技術を学ぶには費用がかかります。
民間資格を先に取得した場合の経験者を優遇する減免措置として講習時間が5時間ほど短縮される予測なので、12月以降国家資格を取得するための費用は
講習時間 | 費用(国家資格は予測) | |
---|---|---|
A 現在 民間資格 | 12時間 | 150,000円 |
B 国家資格(経験者) | 7時間 | 120,000円 |
C 国家資格(初学者) | 22時間 | 400,000円 |
民間資格を取得していればA+B=270,000円
民間資格を取得していない初学者は C=400,000円となります。
目視外飛行、夜間飛行などの限定解除を取得する場合は追加の講習費用がかかる場合があります。
実地費用(技能証明)は限定解除に合わせてかかる
実地試験には3種類ありました。
- 基本飛行
- 目視外飛行
- 夜間飛行
いずれも実地試験にかかる費用は20,000円となっていたので3つ全てであれば60,000円になります。
学科試験は試験場で支払う
国土交通省から発表された学科試験の費用はどうでしょうか。
学科試験にかかる費用 | 約10,000円 |
身体検査にかかる費用 | 検討中 |
技能証明書の発行費用 | 約3,000円 |
合計 | 13,000円 |
公表されている額を合計すると13,000円です。
身体検査については、免許証を提示すれば必要なしと発表されています。
ドローンの国家資格を取得するには?【総額費用を予測する】
ここまでドローン国家資格にかかる費用の予測をしてきました。
国土交通省から「ドローン講習の教則」が発表されたので各地の管理団体では急いでマニュアルを策定しているところだと思います。
噂では減免の時間数もある程度は講習団体に一任していることもあり、肝心のドローンスクール費用がまだ公開されていません。
現時点での予測としてお話していきます。
ドローン国家資格を取得する!【方法その1】<初学者として受講する>
国家資格まで待って初学者として国家資格を取得する方法ですが、初学者の場合は相当な費用がかかりそうです。
初学者の場合
スクール費用 | 実地費用 | 学科試験 | 技能証明発行 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
基本飛行 | 400,000 | 20,000 | 10,000 | 3,000 | 433,000 |
基本+夜間飛行 | 400,000 | 40,000 | 10,000 | 3,000 | 453,000 |
基本+目視外飛行 | 400,000 | 40,000 | 10,000 | 3,000 | 453,000 |
基本+夜間飛行+目視外飛行 | 400,000 | 60,000 | 10,000 | 3,000 | 473,000 |
スクールの講習費用はネットに表記されている300,000円〜500,000円の予想の真ん中を取って試算してみました。
スクールの講習費用に夜間飛行、目視外飛行の追加が発生するかもしれません。
ドローン国家資格を取得する!【方法その2】<経験者優遇を活用する>
既にドローンスクールで資格を取られた人や国家資格前までに民間資格を取得された人の総額を予想して見ました。
経験者の場合
スクール費用 | 実地費用 | 学科試験 | 技能証明発行 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
基本飛行 | 120,000 | 20,000 | 10,000 | 3,000 | 153,000 |
基本+夜間飛行 | 120,000 | 40,000 | 10,000 | 3,000 | 173,000 |
基本+目視外飛行 | 120,000 | 40,000 | 10,000 | 3,000 | 173,000 |
基本+夜間飛行+目視外飛行 | 120,000 | 60,000 | 10,000 | 3,000 | 193,000 |
既に資格を持っている人は講習時間の減免があるのでスクールの費用が安くなります。
ドローン国家資格を取得する!【方法その3】<一発試験に挑戦する>
一発試験は自動車と同じく試験場で一発挑戦する方法です。
自動車の場合一発試験の合格率は5%ほどと言われているので100人挑戦して95人は脱落する可能性がある狭き門と言えます。
ドローンの一発試験は
・試験場で学科試験を受ける
・学科試験に合格したら実地試験を受ける
・健康診断を受ける
学科試験に落ちたら実地試験を受けることができないため、改めて出直す必要があります。
今はまだ試験場については何も発表されていないので見えないことはたくさんありますが、自動車の試験を思い浮かべるといいでしょう。
まとめ|ドローンの国家資格!国土交通省から新たな発表【実地試験費用】
2022年10月27日、国土交通省からドローン実地試験の費用案が発表されました。
パズルのピースがひとつずつ埋まっていくように国家資格の概要が見えてきたことと思います。
費用面で予想してきましたが、自動車の免許制度とよく似ている割にはいささか高い印象ではないでしょうか。
これから伸びると言われているものの、まだ始まっていないので不安な方も多いことでしょう。
過度な期待は禁物ですが、既に多くの業者によってドローンパイロットの獲得が始まっていますので、求人サイトIndeedで「ドローン 操縦」と検索 してみてください。
どんどん増えてくる求人に期待を持たずにはいられなくなるかもしれません。
スカイファイト神戸は、自分の可能性に挑戦したい方を応援します。
ドローンの資格を取るなら スカイファイト神戸(国土交通省認定の管理団体 ドローンネット所属)